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父の池袋のマンション

この日本がバブルとかいう言葉でウキウキして大騒ぎしていた頃の話。父が「池袋のマンションを買うぞ!」と突然言い出した。父とは言っても「義父」つまりは夫の父親。その義父は小さいけれど会社を持っていた。今思えば社会と共にバブル気分で盛り上がり正気を失っていたのかもしれない。だって東京に住む義父が買おうとしたのは、池袋のマンションなんだから。駅の真ん前でこれからどんどん価値がでるぞ!なんて騒いでいた。義母も息子夫婦の私達も本気にしてなかったが、義父は買ってしまった。値段なんて聞く気も起らなかった。バブルが弾けて波が引くように社会の勢いはしぼんでいった。あっという間に父もそのマンションを手放した。ん十年もたって聞いてみて開いた口がふさがらなかった。ウン百万円の赤字だって!高い道楽をしたもんだ!

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